【バイリンガル子育て】無理しない!  家庭でできる日本語教育3つのポイント

日本語の児童書

現在9歳の息子、「自分は日本人だ」「日本語で読み書きができる」そして「日本語で大人とも意思疎通ができる」ことに自信をもっています。 “日本語を学習している”というより、生活の中で普通に日本語を使っている、というほうが正しい表現かな。

オーストラリアで生まれ育ち、現地の小学校に通い、学びも遊びも英語という環境ですが、日本語に対して嫌な感情を持っていない理由を考えてみました。

両親が日本人の場合になりますが、どなたかのヒントになれば嬉しいです。

目次

家の中では日本語を使う

息子の「日本語も話せて嬉しいな!」という気持ちを育てるために気をつけていいることは、保護者(日本語ネイティブ)が会話の中に英語のフレーズや単語を混ぜないことです。これには理由があります。

息子が1歳のことからプレップがはじまるまで、地域のプレイグループに参加していました。その場で育児相談ができたり、ときどき専門家が来られたりして、言語療法士さんと話す機会(無料)に恵まれました。

まだ2歳のころ、言葉の心配はしていませんでしたが、話しはじめの時期だったので「これから、デイケアで使うであろう英語で話しかけるほうがいいのかな?」 「自分の英語でいいのかな?」など、ききたいことがありました。

その言語療法士さんは、まず息子の遊ぶ様子を観察したり英語で話しかけたりして簡単なチェックをしたあと、わたしに向き合い、丁寧に説明してくれました。

その中で1番印象に残った言葉が「保護者は絶対に母国語を使ってくださいね」でした。

自分が日常で使いこなしている母国語で、自然にでてくるたくさんの言いまわしを使うほうがいいと。日本語を習得させるという意味あいだけでなく、英語をふくむ言語能力全般の発達に大きく影響していくとのことでした。

「あなたの英語で話しかけていたら、どちらの言語習得にとってもよくないですよ」と断言されました。

ちょっとショックな内容でしたが(自分の英語はそんなにダメなのかと)、大きなヒントをもらったと今では思っています。さっそく夫に説明し、その日から「プープー」とか「ノー!」という簡単な声かけさえ、日本語を使うように気をつけました。

日本語でなら自信をもって話せるので(意識せずとも)、夫とわたしにとってもよかったと思っています。あのとき、言語療法士さんの意見をきいていなかったら、「これ、英語でどのように表現するんだろう?」と迷いながら息子に話しかけていたと思います。そうすれば、1番身近な存在のわたしたちが自信のない言語を混ぜて話す影響が、少なからずでてきていたと思います。

心配したデイケアでの時間も、そこで使われる英語は自然な流れで理解していきました。そして日本人家庭の我が家は「家の中では日本語を使う」ことが普通になっていきました。

日本語書籍の読み聞かせを習慣にする

このように、息子が話しはじめたころから家庭内では日本語を使うよう意識していました。そして3歳になってすぐからスタートしたのが、“日本語書籍の読み聞かせ”です。

ブリスベンを拠点にされている「おーすとらりあこどもとしょかん」さんから、定期的に日本語絵本や児童書をお借りしています。

子どもの様子やご家庭の状況にあわせて選べるように、いろいろなプランがあります。我が家は、1ヶ月に20冊の絵本をお借りするところからはじめました。

ゴールドコースト地区の会員さんへは月に1回配達と交換に来てくださり、その場で息子が選ぶ絵本と、わたしが前もって選んで予約する絵本とで20冊からのスタートでした。

日本語書籍の読み聞かせは7年目になり、本の内容も成長にあわせてきましたし、今では息子が自分で児童書を読むようにもなりました。年齢とともにプラン変更にも対応していただき、現在は月に30冊お借りしています。

夏休みは長期間なので、追加料金を払うことでより多くの本を借りることができます。こちらを利用して、今回の夏休みには合計83冊(2冊で1セットとカウントする本ふくめ)を読みきりました。

これまで読み聞かせしてきた絵本や児童書の数を思うと、はたして、日本で暮らしていてもここまでたくさんの本、それも多岐にわたるジャンルの本にふれることってあるかな?  と思います。わたしが選んでいるだけだと間違いなく好みが偏りますが、日本語教育・幼児教育のプロによってセレクトされた“厳選えほんセットプラン”も混ぜてもらうので、わたしが読んだことのない、知らなかった、もっというと、興味のなかったジャンルの本まで読み聞かせることになります。これは、なにに興味をもつかわからない成長過程で、大きな意味があるなと実感しています。

語彙力がつく、幅広い教養を身につけられる以外に、小さな知識(点として知っていること)が積み重なり、のちに息子のなかでつながっていくところを何度もみてきました。本の力は偉大ですね。

日本語を身につけさせるという目的以外にも、読み聞かせを続けてきてよかった点があります。親子で体をピタッと寄せあい、1日30分ほど共に時間を過ごしてきました。ただ読んで聞かせておわりではなく、読み聞かせの最中には質問がとんできたり、息子の興味の芽を発見したりという瞬間があります。「えっ? そんな風に感じるのか!」と驚くこともあります。息子と真剣に向き合える時間は、かけがえのないものだとかみしめています。

補足ですが、児童書になってくると、なつかしい本との再会も楽しみのひとつです。「ズッコケ三人組」シリーズは、ワクワクして読んでいたことを思い出したり、『おかあさんのつうしんぼ (子どもの文学傑作選 5)』は主人公よりもおかあさんの心情に共感したり。自分の感情も豊かになる時間です。

息子の語彙力や表現力が蓄積されていることは日々、目の当たりにしていますし、これからも続けていくつもりです。

オーストラリアで暮らしながら、「おーすとらりあこどもとしょかん」さんの蔵書約5000冊にふれられることは、貴重でありがたいと感謝しています。これだけの書籍を日本で買って送るなんてできませんし、先ほども書いたように、ジャンルが保護者の好みに偏らないことも息子のためになっているな〜と思います。

AmazonプライムもSwitchも設定は日本語

Amazonプライムを導入したときも、Nintendo Switchを買ったときも、日本語で設定し、使いはじめました。

息子は「新幹線変形ロボ シンカリオン」や「ポケットモンスター」シリーズが大好きで、夢中になって観ています。テレビ番組から覚える日本語での日常会話、けっしてあなどれません。日本の地名や生活のちょっとしたときに使う言いまわし、擬音語など、どんどん覚えていきます。

ゲームで知る日本語もたくさんあります。詳しくは以前に書いていますが、ゲームに興味があればあるほど、プレイしたいがために、知らなかった日本語をどんどん吸収していきます。「〜は、なに?」と質問ぜめにあいますが、手をとめて説明するように心がけています。

さいごに

息子の日本語教育をどうするかについて、夫婦で一致していたことがあります。漢字を覚えるまで繰り返し書かせたり無理強いして勉強させたりしないと決めていました。

できるなら、生活していくなかで、楽しんで自然に日本語を身につけていってほしいなと。「バイリンガルにするぞ!」というより、抵抗なく日本語を使える方向へ進めている感じです。

家庭では日本語で話す、できるだけたくさんの日本語書籍にふれる機会をもつ、テレビやゲームは日本語、という生活パターンのほか、公文の国語を続けていたり、日本語日記を書いていたりもします。これからも基本的にはかわらないと思いますが、子どもの日本語学習にとってどれが1番いいとか正解はありませんよね。あれこれ試行錯誤しつつ、子どもの性格や興味も十分考慮していくことが大事かなと思っています。

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